令和3年度東京都立高校の数学の入試問題を解いてみました。 -後編- (菅田先生)

2月21日、東京都の都立高校では一般入試が実施されました。

 

このブログは、今年度の数学の共通問題を実際に解いてみて考えたことについて書いてあります。主に、大問4と5、そして、試験問題全体を通しての内容となります。

新型コロナウイルスの影響による出題範囲の削減や、大問1から3までにあたる内容が「前編」にまとめられております。そちらもご覧ください。

 

 

【大問4:平面図形】

円と内接する長方形を読み解く問題でした。〔問1〕は例年取りの角度の問題でした。〔問2〕の①の図形の証明問題においては、図形内の1つの三角形が二等辺三角形であることを証明させる問題でした。近年では珍しく、合同の証明でも相似の証明でもない問題が出題され、驚いた受験生も多かったのではないでしょうか。例年、証明問題は合同と相似の証明が交互に出題される傾向にあり、今年は相似の証明が出題されることを予想している人が多かったのではないかと思います。来年度以降の証明問題の出題範囲にも影響が出そうです。

〔問2〕の②に関しては、主に相似を利用して解く問題でした。面積比と線分の比をうまく利用して長さを求めつつ、場合によっては図形同士が合同であることも利用しながら解く問題だと言えそうです。ただし、この問題においては、長方形であることや円の直径に関わる円周角が90度になることを利用することができるため、三平方の定理を利用すれば解きやすいと思いました。三平方の定理が出題範囲ではなかったにせよ、それを勉強してきた受験生にとっては、1つ1つの辺の長さを求めながら解くことができたのではないでしょうか。

 

 

【大問5:空間図形】

三角柱を利用した問題でした。

〔問1〕に関しては、珍しく「ねじれの位置」に関する問題が出題されました。例年、空間図形内の角度や線分の長さを求める問題が多く出題されていましたが、これまでとは違う傾向の問題と言えます。問題自体は基礎的な知識があれば解くことが可能ですが、「ねじれの位置」を正確に理解していないと間違えてしまいそうです。

今後、空間図形内での平行な面や辺、垂直な面や辺を答えさせる問題が出題されることも予想されます。

〔問2〕に関しては、三角錐の体積を求める問題となっておりました。この問題においても相似を利用して三角錐の高さを求める必要がありました。しかし、この部分においても三平方の定理を利用することで容易に高さが求められるため、試験範囲に関わらずまんべんなく勉強してきた受験生にとっては、点の取りどころだったかもしれません。

 

 

〈全体を通して〉

例年、大問3から5の最後の問題は難易度が高いのですが、今年は特に大問3の関数の問題が難しかったように思います。その上で、平面図形と空間図形においては、三平方の定理を利用することができれば、例年より点が取りやすいのではないかと思います。新型コロナウイルスの影響で試験範囲が狭まりましたが、それを気にせずに受験対策をしてきた受験生にとっては、自信を持って試験問題に取り組めたのではないでしょうか。

その上で、二等辺三角形の証明やねじれの位置を答えさせる問題が出題されるなど、例年と比べると珍しい問題も出題されていました。これらの単元が、ある種の新傾向の問題として今後も出題されることが予想されます。そのため、これまで以上に様々な単元の勉強に深く取り組んでいく必要がありそうです。

 

 

受験生にとっては、試験範囲が狭まってはいるものの、例年とは違う出題傾向の問題が出題され、戸惑ってしまった生徒も多かったのではないでしょうか。今年の試験問題からは、今後、様々な単元からの出題が視野に入れられていると感じさせられました。例年通りの対策を続けつつ、とっさの変化にも対応できるような対応力も必要になってくるのかもしれません。また、全体的に計算が複雑になっているため、1問1問丁寧解いていく力も必要のように思います。来年度から中学校の教科書改定に伴い、四分位範囲や箱ひげ図のような単元も入試問題として出題される可能性は十分あると思います。1つ1つの単元を丁寧に勉強し、様々な問題においても対応できる力を身につけてほしいと思います。

 

 

最後に、今回の東京都立高校の一般入試を受験した受験生の皆様、お疲れ様でした。合格が勝ち取れていることを陰ながら願っております。残念ながら落ちてしまったとしても、高校で挽回できます。なんにせよ、素敵な高校生活が送れることを心より願っております。

 

 

関連記事

  1. 世田谷区・目黒区の公立中学校事情と対策③

  2. お子様の成長のためには、ご両親のコンセンサスが重要です!

  3. 先輩から後輩へ、受験必勝法を伝授!

  4. 子どもの自殺を防ぎましょう!

  5. マンスリーニュース20201年5月号

  6. 親と子の受験相談会

最近の記事

ピックアップ記事

PAGE TOP