この春、4月から6月にかけて、TBSのドラマ、「ドラゴン桜」が放送されていました。
このドラマは、主人公である弁護士・桜木建二が、偏差値30台の生徒を東京大学に入学させ、低偏差値校を改革していく様子を描いた物語です。2005年に1度ドラマ化されており、今回、16年ぶりに新たに製作され、放送されました。
日曜劇場『ドラゴン桜』HP
https://www.tbs.co.jp/dragonzakura/
私自身も教育業界の一端を担う者として、また、2005年の「ドラゴン桜」を見ていた者としても興味深く、今回の放送を毎回楽しみに見ておりました。
このブログでは、物語の詳しい内容には触れません。ですが、いち教育者としてこの作品から感じたことなどを記していきたいと思います。
「ドラゴン桜」を見ていると、様々な勉強法や学習方法を描いている部分が多く見られます。英語であれば、小声で発生しながら行う「ぼそぼそシャドーイング」を紹介しており、また、古文単語は漢字にすることで意味が捉えやすくなることを生徒に指導していました。
他にも、学習用アプリである「スタディサプリ」を使用させたり、生徒に授業をさせ、その様子を批評しあったりする場面もありました。ICTの活用や、他者との関わりのあるアクティブラーニング的な部分も見られ、現代的な勉強方法も紹介しているように思いました。生徒にYouTubeで動画を投稿させることなども行っており、様々なアプローチから生徒の成績向上を促していました。
以上のように、この物語の根幹には、「東京大学に合格させる」ことが軸にあるため、これらの学習法を見ていくことがこのドラマの面白さを引き立てている1つの要素だと思います。しかし、それ以上にこのドラマを見て感じさせられたことが「人間性の成長」に関わる部分でした。
主人公である桜木先生は、勉強面の指導はもちろんのこと、生徒の性格を見極め、精神面での助言を逐一しているように見られました。あくまで「東大受験」は自分の意志で行うこと、そして、生徒たちに勉強面以外での問題が出てきたら、その都度、桜木先生なりのアプローチで生徒を鼓舞し、「人間性」の部分での指導をしていたように思います。言い換えれば、生徒を「コーチング」していたように思います。
もちろん、これはこのドラマが物語であり、ドラマ性を生み出すためのものであることもあると思います。「人情劇」としての側面と言えるかもしれません。しかし、実際に教育現場で生徒と向き合っていると、学習方法で悩むこともありますが、生徒の性格や特性で問題を抱えることもしばしばあります。
生徒一人一人、性格や特性はみんな違います。しかし、勉強面で良い結果を出せる生徒の多くが、素直で、優しく、はきはきとした気持ちの明るい子です。教師の話していることを素直に聞ける子や、課された課題をしっかりと提出できる子が、最終的に自身の目標に到達できていることが多いと思います。そして、精神的に大人であり、自分の意志で目標を決められる子だと、より力を発揮することができているように思います。これは、「ドラゴン桜」の舞台にいるような高校生だけでなく、中学生や、中学受験をする小学生にも言えることだと思います。
桜木先生も、勉強ができ校内での成績の良い生徒であっても、性格面や素行の面で問題がある生徒にははっきりと「東大には合格できない」と話します。物語の一側面ではありますが、私自身も性格の良し悪しは少なからず勉強面に影響すると思います。
私は、「ドラゴン桜」を見て、勉強面での指導はもちろんのこと、生徒の性格や特性を見た指導を考えていきたいと思いました。桜木先生のような物言いはなかなか難しいですが、自分なりに咀嚼し、生徒たちへと還元できれば良いと考えております。その上で、生徒たちが勉強に前向きになれるような指導をしていきたいと思います。