~可能なら、中学受験をお勧めします! 公立中学校が大変な状況なんです!
今年、創立40周年を迎える当塾は元々「中学受験」にそれほど前向きな塾ではありませんでした。理由は「子どもは遊びや友人関係、地域との関わり等、勉強以外からも学ぶべきことは山ほどある。最も大切な『心』を育てるためには、子どもの間は『よく学び、よく遊べ』」という考えがあったからです。しかし、東京においてはここ数年、公立小学校➡公立中学校という進路に大きな問題が生じてきました。
まず、2005年以来、都立中高一貫校が次々と開校したこと。公立中ということで入試に必要な評価基準の何割かは通知表が占めています。その影響で、小学校の通知表の評価が急に厳しくなりました。それまでは「大変良い」等の最良評価を得る子どもはとても多かったのですが、この都立高入試が始まって以来「本当に優秀な生徒、テストで得点を取れる生徒」以外はその評価をもらえなくなりました。当然、勉強が得意でない子供はどんどん自信を失くしていきます。そして勉強が嫌いになっていきます。
第2に脱ゆとり以降の教科書改訂。この改訂がある度に学習量が増加し、難化しているのですが、特に2020年度の小学校教科書改訂、2021年度の中学校教科書改訂で「勉強できない子、塾に行かない子は切り捨てる」とでも言わんばかりの内容になりました。特に英語。小学5~6年生で600語~700語の英単語を習得することになっていますが、きちんと習得できるような授業を行っている小学校は聞いたことがありません。(小学校の先生方を責めているのではありません。こんなに急な変革は現実的に無理なのです。)しかし、中学校の教科書はそれが前提で、中1からかなり難解な英単語や文法、英文が並んでいます。過去20年間の習得すべき単語数は、
■2002年~2010年:中学校で900語、高校で1300語・・・合計2200語
■2011年~2019年:小学校で450語(必修ではない)、中学校で1200語、高校で1800語・・・合計3000語
■2020年以降:小学校で600~700語(必修)、中学校で1600~1800語、高校で1800~2500語・・・合計4000~5000語
そしてそれに合わせて、中学校の定期テストもどんどん難化しています。当塾のエリアでは英語の通知表で「4」をもらうためには平均+20点程度が必要ですが、小学校まで学校以外で英語を勉強していない生徒は不可能です。中1でも英検4級レベルの力がなければ不可能な問題構成になっているからです。問題が難化しているのは他教科も同様ですし、定期テストの時期に大量の提出課題も強制されますから、心構えや事前の学習無しで中学校に入学する「ふつうの」生徒は間違いなく成績下位層になり、勉強嫌いの中学校生活になってしまいます。(続く)