算数を本質から理解させる指導 ー割合編ー (菅田先生)

日ごろから算数を教えているときに、気を付けていることがあります。それは、ただの公式の暗記にならないように指導することです。算数、特に小学4年生以降の算数は、求められる技能が徐々に本格的になっていきます。そして、1つ1つ丁寧に理解していかないと後の中学数学や高校数学で苦労してしまいかねません。5年生で学ぶ「割合」や「速さ」、6年生で学ぶ「比」や「比例と反比例」は、特に重要な単元であると感じさせられます。学年ごとの「図形」の単元や「場合の数」、「図表の整理」などの単元ももちろん大切です。これらの単元は視覚からの情報が多く、そこを明確にするとうまく対策ができるように感じております。

 

その上で、「割合」や「速さ」などは、なかなか視覚から考えることが難しい単元のようにも感じます。そして、それらの単元の本質を丁寧に理解できるかがとても重要だと思います。

 

そこで、今回のブログでは、どのような点を理解することができると「割合」や「速さ」などの単元が理解しやすくなるのかを書いていきたいと思います。ここで書く内容が必ずしも全てのお子様に馴染むやり方ではないと思いますし、1人1人の生徒にとって理解しやすい考え方があります。今回は、私自身が日ごろ指導している中で意識していることも踏まえて、「割合」をピックアップして記していきたいと思います。

 

 

〈割合の基本的な解き方〉

割合の基本的な解き方は、以下の通りです。

 

「比べられる量」÷「もとにする量」=「割合」

 

これを変換すると、以下のようにも言い換えることができます。

 

「比べられる量」÷「割合」=「もとにする量」

「もとにする量」×「割合」=「比べられる量」

 

この3つの公式を利用し、問題文の情報から判断して公式に当てはめて解いていくことが一般的かと思います。そこに、「割合」であれば「百分率」や「歩合」のように「% (パーセント) 」や「〇割△分□厘」という表記を利用して答えていくことになります。

 

これらを勉強するにあたって、小学生の大半は「もとにする量」と「比べられる量」の違いに苦しみます。私自身が指導する際に、学び始めたばかりの生徒には「もとにする量」を「全体の量」として、「比べられる量」を「部分の量」として言い換えることが多くあります。「もとにする量」は問題文にとって全体の基準になる量なので、まずはそこを判断し、そこから部分的な値を取る「比べられる量」を見て計算するように話します。

 

しかし、この場合において、必ずしも「比べられる量」が「もとにする量」よりも小さい量になるわけではないため、生徒によっては混乱してしまうこともあります。答えが120%のようになると、「もとにする量」よりも「比べられる量」の方が大きい値になってしまうため「比べられる量」が部分的なこととして認識できなくなってしまうのです。もちろん、このような話し方でも柔軟に対応できる生徒はいますが、この量の違いにより、思考が止まってしまう生徒がいることも確かです。

 

 

〈割合の本質を考える〉

改めて「割合」を考えるにあたって、小学3年生で習う「かけ算」の知識を利用します。その知識を改めて使うことで、「割合」が根本的なところから理解しやすくなると思います。

 

3年生になると、値を「×2」、「×3」することを「2倍、3倍する」と言うように学びます。

 

例えば、200mlのリンゴジュースが1カップあった時に、カップが2つあれば、「2倍」の400ml、カップが3つあれば「3倍」の600mlのようになります。

 

例①) 200mlのリンゴジュースを1カップとする。

 

2カップあると…200ml×2カップ = 400ml (2倍した)

3カップあると…200ml×3カップ = 600ml (3倍した)

 

ここで、200mlのリンゴジュースが半カップ、つまり1カップの半分になっていたらどうなるかを考えます。

半分にするということは「÷2」と考えられますが、小数を知っていれば半分は「0.5」で表すことが可能です。

 

そのため、例①のように考えると、半カップは「×0.5」をすることであり、それが「0.5倍」すると言うことができます。

 

例②) 200mlのリンゴジュース1カップとする。

 

半カップとすると…200ml×0.5カップ = 100ml (0.5倍した)

 

このように考えると、もとになる「200ml」について、「2倍」すれば量が増えていき、「0.5倍」すれば量が減ることが理解しやすいと思います。

 

「割合」の基本は、「もとにする量を何倍したときの量になっているのか」を考えることです。「もとにする量」を倍にしていくときに、1より大きな数で倍にしていけば量が増えます。また、0より大きく1より小さい数 (0.5や0.8など) で倍にしていくと量が減ります。これらのことが理解できていると、「割合」の問題を解くときに理解しやすくなると思います。

 

その上で、問題の基準となる「もとにする量」をいかに判断できるかが重要となります。そこに重点を置けると、後は、問題文で求められていることが何かを導きやすくなると思います。この「もとにする量」を判断する力は、生徒の読解力による部分が大きく、数字ばかりを追ってしまう生徒だと「もとにする量」と「比べられる量」の判断が難しく感じると思います。改めて、基準としているのはどの値なのかを判断できるように日ごろから読む力を高めてほしいとも思います。

 

このように、単元ごとに基礎となる考え方はなんなのかを理解することが大切だと思います。今回取り上げた「割合」のように、それぞれの単元で理解しやすい考え方や基礎知識があります。そこを理解しながら勉強していけると良いと思います。私自身も、改めて日ごろの授業で単元ごとの本質を考えながら指導していきたいと思います。単元ごとに深い部分から理解できると、その後の成績の伸びにもつながりやすいと感じています。もしかしたら遠回りかもしれませんが、そこを意識した勉強を進めてほしいです。

 

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