2月21日、東京都の都立高校では一般入試が実施されました。
新型コロナウイルスの影響で、今年度の入試は試験範囲が縮小されることが決まっており、例年通りとはいかない試験であったことは事実だと思います。
その上で、今回、日頃から中学生の数学を担当していることもあり、数学の共通問題を解いてみることにしました。
※大半の都立高校は共通問題を採用しています。一部、難関校に位置する学校において自校作成問題が出題されております。
今年度の数学の問題は、以下の単元が試験範囲から除かれました。
・三平方の定理
・標本調査
例年、標本調査はほとんど出題されたことがなく、確率や資料の活用の問題で利用するかもしれない単元という側面があります。このこともあり、標本調査が範囲外になったことは、あまり影響がなかったと思います。
反面、三平方の定理は、平面図形や空間図形において利用することの多い単元です。特に、空間図形では三平方の定理を利用することを前提にしているような問題が多く出題されてきました。一部、関数の問題でも利用することがあり、出題形式は多岐にわたります。そのため、三平方の定理が出題範囲から除かれることの影響は大きかったと思います。
以上のこともあり、今回の入試問題では、1,2年生で学んできた内容が主な出題範囲となることや、今まであまり出題されてこなかった単元の問題 (空間図形の断面がどのような図形になっているか、など) が出題されるのではないかと予想されていました。
それらを踏まえて、今年の問題を解いたことについて書いていこうと思います。
【大問1:小問集合】
例年に比べると少し難しめな印象を受けます。特に〔問6〕の二次方程式の問題は因数分解では解くことのできない問題になっており、時間のかかる問題でもあるように思います。
〔問7〕はy=ax² の変域を答える問題でした。xの変域の範囲をよく見ていないと間違えてしまいそうです。
〔問8〕の確率の問題も、条件に合わせて数えていくことに注意が必要のように思います。
最後の〔問9〕の作図の問題は、教科書や演習用の教材にしっかりと目を通していれば十分に対応できる問題だったと思います。ここは得点を取っておきたい問題の1つかもしれません。
【大問2:文字式の説明】
紙面いっぱいの文章に面を食らってしまいそうで、読むことに慣れていない生徒にとってはなかなか厳しい問題だったのではないでしょうか。その代わり、丁寧に読み進められれば、比較的解きやすい問題のように感じます。図形の面積に関する問題でした。
〔問1〕で問われていることが正確に理解でき、かつ解答できていれば、〔問2〕はそれを踏まえて解くことができる問題でした。今回の記述による説明は比較的書きやすかったのではないでしょうか。うまく満点解答が得られていると良いと思います。
なお、〔問1〕に関しては、答案用紙に記述する記号は違えど、計算結果が同じ答えになるため、戸惑ってしまう生徒もいたのではないでしょうか。自信を持って解答してほしいと思いました。
【大問3:関数】
今年の関数の問題は1次関数でした。〔問1〕と〔問2〕に関しては基礎的な問題だと思います。
その上で〔問3〕は非常に難易度が高い問題だと言えそうです。例年から、求めたい座標に仮の文字を置いて解く問題が多く出題されてきましたが、今年もそれを利用して解く問題でした。その上で、等積変形や線対称であることを利用して解く必要がありました。計算も複雑で、注意深く解く必要があり、時間もかかります。全体的な正答率はかなり低いことが予想されます。今年、1番難しい問題だったかもしれません。
今回は、大問3までを取り上げました。後編に続きます。